昨年の旅の振り返りも終わってない、相変わらず遅筆なわたしですが……6月のカレンダーを眺めていて「もうすぐ夏至だなぁ」と思い出したフィンランドの夏至祭での思い出をご紹介。
それは、私が初めてフィンランドにホームステイした時の話。
その日私はホストファミリーに連れられて、夏至祭の会場にいた。夏至はフィンランドの人にとって、クリスマスに次ぐくらい大事な行事と聞いたことがある。1年の中で一番日の長い日を盛大に祝うのは、冬が長く暗い反動かもしれないなぁ……なんて考えながら、湖上のコッコ(夏至祭に欠かせない大きな焚火)の幻想的な迫力にうっとりしていた。
人口100人程度の片田舎だったので、シニアの姿が多く、その夏至祭はお祭り騒ぎというよりは荘厳な雰囲気だった。そして、牧師さんに話かけられた。
「どこから来たの?」
「日本です」
「おお、そうか。あそこに日本人がいるよ」
と、1人の日本人を紹介された。
当時(1999年)はフィンランドに日本人が本当にいなかった。主要な観光地で日本人を必ず見かけたり、空港に日本語があったり、そういう現代では考えられないだろうが、私は3週間フィンランドにいて全く日本人と会えてなかった。ヘルシンキの観光地で日本人かな?と思っても中国人だったということが何度かあった。
自分の語学力のなさに辟易して、日本語に飢えていた私はその出会いを喜んだ!久しぶりの日本語!!とその方と話が盛り上がった。後からホストファミリーに言われたのが「こんな田舎でただでさえ珍しいアジア人が二人いて、しかも聞いたこともない言葉で話しているから二人はとても注目されていたよ!」と、周りの視線が気にならないほど、私は久しぶりの日本語での会話を楽しんでいた。
さて、そんな私だが……あまりにも日本人に会わないものだから油断していた……。その日、高校の時の体育祭で作ったクラT(クラスTシャツ)を着ていたのだ。
着心地がよくて、愛用していた。
それになんの問題が?
実はそのTシャツは背面に「プライバシー保護のため音声を変えてあります」と書かれたおふざけTシャツだったのだ!
日本だったら、絶対に外で着ない。でも着心地はいいから部屋着にしていたそのTシャツを「どうせ誰も分からないだろう」と不覚にも着ていたのだ。
聞けばその方は1年近くフィンランドにいて、フィンランド語での日常会話は問題ない。私のTシャツをみて、笑って、ご丁寧にフィンランド語に訳して周りのフィンランド人に伝えたのだ!
当然周りは大爆笑!私のホストファミリーは私がよく着ていた見慣れたシャツに「そんなこと書いてあったのー」とやはり大笑い!
私は顔を真っ赤にして立ち尽くすのでした(笑)
「夏至がくると思い出す~♪」それが、初めてのユハンヌス(夏至祭)の思い出。
↑ちなみに、未だにこのクラT愛用しています。
(もちろん、部屋着ですよ)
【過去のイラストエッセイ記事】
・改めて、自己紹介編(https://tavatabito.net/2023/04/19/essey10/)
・初対面でおススメのフィンランド語?(https://tavatabito.net/2023/04/20/essey09/)
・フィンランドでは黒いものに気をつけろ!(https://tavatabito.net/2023/04/27/essey08/)
・サルミアッキをススメられたら?(https://tavatabito.net/2023/04/28/essey07/)
・フィンランド人にされたドキッとする質問(https://tavatabito.net/2023/05/12/essey06/)
・アラビアのトイレの話(https://tavatabito.net/2023/05/19/essey05/)
・フィンランドでヒヤッとした話(https://tavatabito.net/2023/06/03/essey04/)
・フィンランドで出会ったおじいさんとの思い出話(https://tavatabito.net/2023/06/23/essay03/)
・ずっと観ていたい、フィンランドの天気予報(https://tavatabito.net/2023/09/18/hello-world/)
・子連れ海外旅行で、伝えたかったこと(https://tavatabito.net/2023/10/23/essay1023/)