Vol.2

文:maru /絵:nashie

「原作本」
さて、今回は映像化(アニメ、映画、TVなど)された作品の原作本をご紹介します。
みなさんの視覚と聴覚によく馴染んだ作品も、その原作を知ることによりひと味違う楽しみ方ができますので、ぜひ一読をオススメします!


「ムーミンシリーズ」(講談社)トーベ・ヤンソン著
言わずと知れた、日本でも大人気キャラクター・ムーミン。
日本ではむしろアニメとしての印象が強いですが、ぜひ原作9シリーズの深い世界に触れてみてください!より、このまん丸な生き物が愛おしくなりますよ。
・小さなトロールと大きな洪水
・ムーミン谷の彗星
・たのしいムーミン一家
・ムーミンパパの思い出
・ムーミン谷の夏まつり
・ムーミン谷の冬
・ムーミン谷の仲間たち
・ムーミンパパ海へ行く
・ムーミン谷の十一月

著書トーベ・ヤンソンが描き出すこの児童文学小説は、子ども向けに出版されていますが、
実は大人こそ楽しめるシュールで哲学的な要素が満載の作品です。
つまり、「子どもの頃に読んだから…」という人も油断してる場合ではありません、
20歳、30歳、40歳、50歳と年齢を重ねるごとに新しい角度でムーミン谷を訪れることができるほど、
奥行きの深~い小説なのです。
ということで、ムーミンに限ってはこれだけで特集が組めるほど伝えたいことがたくさんあるため、
今回はサラリとヒトツだけ語ります。

日本人とフィンランド人はしばしばそのシャイなところや、
お酒を飲むと性格が変わることなどなどが「似ている」と表現され、
わたしも「姿形が違うのにどうしてこんなに通じるのだろう?」 と感心することが頻繁にあります。
しかしながらもちろん、決定的に"違うコト"も存在します。
そのひとつが日本人の「和」に対して、フィンランド人の「個人主義」です。
これはどちらが良いとか悪いということではなく、
「人との距離のとり方」や「相手の尊重の仕方」が少々違うので、
よく理解をしていないと、 お互いの好意の行動が不快に伝わってしまうこともあるので要注意です。
そこで、「個人主義」がよく分かる教科書がムーミンなのです!(あくまでわたしの自論)
日本人からみると「もうちょっと引き止めてあげなよ」と突っ込みたくなる、
あっさりと旅発つスナフキンとの別れの場面など良い例です。
引き止めることが「やさしい」と感じるか、
行かせてあげることこそが「やさしい」行為なのか、
それが「和」と「個の尊重」の大きな違いです。
ムーミンシリーズは、ストーリーを楽しみながら自然と「個人主義」について
知ることができる美味しい作品なのです。
フィンランド人を冷たく感じたり、関係に悩んだ時、
これから留学の予定がある方などにも強くオススメします。
それぞれの個性あふれるキャラクターたちが、自分勝手なようで、
実はお互いを日本人 の「和」とは違う距離感をもって貴んでいることに気付かされます。
今回は、奥が深いムーミンシリーズのほんのヒトツの視点をご紹介させて頂きました。

「麦わら帽子のヘイナとフェルト靴のトッス」(講談社 青い鳥文庫)シニッカ・ノポラ&ティーナ・ノポラ著

日本では2005年に「ヘイフラワーとキルトシュー」というタイトルで上映されたフィンランド映画の原作本です!
しっかりものの姉と、やんちゃな妹と、ふたりをとりまく家族、隣人たちとの物語です。
映画ではそのポップでカラフルな部屋のインテリアや、
登場人物たちの服装などが「さすがフィンランド!」という色遣いで、
キュートな主人公ふたりのフィンランド語の響きも素敵でした。
原作はシリーズの児童文学です。
映画さながらにどたばたと展開するストーリーに引き込まれること間違いなし!

「かもめ食堂」(幻冬社)群ようこ著

周知の通り、あの大ヒット映画の原作小説です。
群さんの軽妙な文章で書き下ろされた本作は、
映画には描かれていないエピソードも満載です!
例えば…サチエさんはお客が来ないのになぜあんなに堂々としていられたのか?
「そうは言っても、お金は大丈夫なの?」とか、ミドリさんは「なぜ指をさすだけで旅に出ようと思っちゃったの?」なーんて登場自分たちの背景や、
映画を観てよぎった疑問もスッキリ解決します♪
映画と同じように、背中をシャンとさせて、
でも気張らずに毎日を丁寧に生きようと思わせてくれる読後感です。

「アキ・カウリスマキ」エスクァイア マガジン ジャパン

本作は厳密には原作本ではないのですが、
フィンランドを代表する映画監督アキ・カウリスマキを知る一冊です。
写真と文章で、彼の作品解説や、インタビューなどが盛り沢山!
アキ・カウリスマキの映像美や独特の空気感、 セリフまわしにやられてしまっているファンに、よりアキワールドを楽しんで頂けるガイド本としてご紹介します。

「フィンランド・森の精霊と旅をする」プロダクションエイシア

NHKで放映された番組「世界里山紀行フィンランド森・妖精との対話」(DVDで購入できます)の元本です。この作品にはさらに原作本があります。
フィンランド語タイトルは「PUIDEN KANSA」(英題Tree People)。
フィンランドの森の中で失われつつある、 伝統や言い伝えを2人の女性カメラマンが収めた写真集です。
わたしが伝えたいフィンランドの"空気感"を表現してくれる。
わたしが知りたいフィンランドの"自然の神秘"を教えてくれる。
素敵な一冊を日本語にコンパクトにまとめてエイシアさんが出版してくれました。
思い入れが強い、大好きな世界観すぎて、これだけでも長々文章が書けてしまうのですが、ぜひDVD、そして本もお手にとって堪能してください。
しばしばフィンランド人は自分たちのことを「たった今森から出て来た人」というようなニュアンスで語ります。
そう、NOKIAを片手に、教育界も先導する彼らにとっての"森"はルーツなんて言葉では片付けられない存在なのです。

 

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